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2005/03/06土曜日
祥雲~原木からこだわる本物づくり


山梨由博(やまなしよしひろ)さん
静岡市出身の45歳。名古屋の彫清(ほりせい)で社寺彫刻や文化財修復の経験を3年間積んで、祖父の代から続く山梨仏具店に入社。平成12年3月から社長に就任。山車屋台彫刻は平成7年から本格的に取り組み始め、平成17年完成の福田「む組」屋台彫刻を手がける。


-まず祥雲について-
「山梨仏具店は、祖父の代からの店です。その先々代から指物大工をやっていたことがわかっています。今では文化財の修復や神輿の製作、山車屋台の彫刻などを幅広く手がけるようになってきましたので、この名称がそぐわなくなってきているのも確かなんですね。ですから、これからの発展性も考えて祥雲というブランドでいこうと。ある方からも、仏壇屋だとイメージ暗いよといわれてしまいまして(笑)。祥雲というのは昔から使っている名称で、一時は祥雲堂山梨仏具店としていた頃もありました。めでたい、瑞祥の雲という意味なんです」
(確かにカーナビで検索すると、祥雲堂山梨仏具店で出てきます)

-どのように彫刻図柄を決めるのですか-
「今回の福田む組屋台に関しては、施主さんからいろいろなテーマを出していただいた中で、最終的にはありがたいことに図案を一任していただいたんです。どんな名人といわれる職人でも必ず得手不得手はあるものなんですね。私どもは寺院の彫刻欄間・仏像彫刻、社寺彫刻部品の新調及び修復を長年手掛けてきましたので、やはり人物彫刻を得意としています。ですから図案は道釈人物画(どうしゃくじんぶつが~東洋画で、道教や仏教で説く超自然的な神仙あるいは高僧の言行などを描いたもの・広辞苑)を参考にしています。正面の鬼板・懸魚では、呂洞賓(リョウドヒン)の持つ水瓶から出た親子龍が、鬼瓦へ巻きついている様子を表現して独自の図柄になるようにしています。あと、誰が見てもわかるものも必要だということで、欄間に七福神をあしらっています」

-難しいところは-
「実は神様とかは苦手なんですよ(笑)。衣服の質感がつかめないから、表現しにくいんですね。あと、彫刻はやはり絵でほとんど決まります。各地にある伝統的な作品を参考にすることもありますし、美術館へ通ったりして絶えずヒントを探しています。絵画はもちろん、人体骨格の本なんかも参考にしますよ」

-工夫されたところは-
「屋台の場合には、高いところに彫刻が付くわけですから、まず目線を考えて彫ります。見上げたときにぐっと立体的に見えるように。欄間の七福神を見ていただくとわかると思うのですが、人物の後ろまで回り込んでほってあるんです。ちょっと空間が多いかなと感じるかもしれませんが、背景はできるだけシンプルにして人物が映えるようにしています。
屋台の腰の部分に付く彫刻は、以前から自分が気に入っている図柄で構成してみました。子供の生き生きとした自然な表情を上手く表現したかった。特に目の端を少しボカすと子供らしい柔らかい表情になるんです。祥雲の彫刻では眼の入れ方に特徴があります。瞳孔の部分を彫って陰影を出しています」

-どういう方が彫るんですか-
「仏像・社寺彫刻を手掛けて30年以上の職人が担当しています。独立して看板を出してやっている人ではなく、祥雲の社員です。彫り方は作業指示書を作成して細かく管理しますよ。目に付きにくいところ、例えば龍の鱗一枚の形状までこだわったりしますね。やはり後々まで作品が残るわけですから、いいもの、施主さんに満足していただけるものを作りたいんです。できるだけ時間をかけたい。祥雲では材料ごと仕事を請けますので、屋台の原寸図面ができた段階で、それに合わせて材料を木取りして彫り始めます。原木から仕入れて乾燥材を持っているからできることなんですね。こうすることによって作品にじっくり時間がかけられるんです。納期や予算に制約がある中で、とにかくベストを尽くしたいんです」

-原木から仕入れているそうですが-
「使う材木は全て国内産です。原木で買い付けてきて、まず屋外で2年ほど放置して乾燥させながら癖を取ります。次に屋内で7、8年寝かせる。木というのは中心部と周辺部とでは繊維の密度が違うので、乾燥のスピードも違う。これを水分傾斜というんですが、繊維が割けるのを防ぐために、逆に水を足したりしながらバランスよく乾燥させてやることが大事なんです。余分なところを落として製材し直していくと、本当に使える部分というのは減っていきますよ。7寸のものは5寸に、5寸なら3寸になってしまいます。コストで見ると、鬼板彫刻を7寸の厚さでやろうと思ったら、5寸の材料の3倍ほどかかります」

「これからは、今まで以上に修復の仕事に力を入れてやっていきたいですね。昔からのいい技法・技術を残し伝えていきたいと思っています」
と語る山梨さん。お忙しい中にもかかわらず、参考資料を見せていただいたり、材木置き場まで案内していただきました。誠にありがとうございました。

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