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2001/07/24静岡県榛原郡榛原町静波
山梨仏具店さん訪問

今回訪れたのは榛原町静波にある山梨仏具店さん。福田町南島の川島初雄さんと共に取材に伺いました。
応対して下さったのは社長の山梨良博さん(41)。展示されている仏壇の説明から始まり、仕事場や材料置き場まで見学させていただきました。
山梨さんの祖父の代から続く店だそうで、名古屋の「彫清=ほりせい」さんというところで約3年ほど修行されたご経験もあり、「昔からの素晴らしい技法・技術を遺し伝えていきたい」と、仏壇製作に加えて文化財修復や祭りの御輿・山車・屋台彫刻などを幅広く手がけておられます。


工場の中も見学させていただきました

お、あんなところに彫刻が…

平成10年に完成した磐田「玉匣社」山車の見事な彫刻で一気に注目を集めるようになりました。彫刻の作業場は別だそうで「僕は彫らないんです。施主さんと納得いくまで話を詰めて図柄や構図を考え、彫刻専門の職人に指示して彫ってもらいます。いわゆる看板を上げてやっている人ではないんです。彫り方は細かく指示しますよ。目に付きにくいところ、例えば龍の鱗一枚の形状までこだわったりしますね。玉匣社さんは2年の期間をいただけましたので、あれだけのものが出来たんです。」
複数の職人さんで連携し彫刻を完成させていく場合が多いそうで、あまりの細かさや出来の良さ故、中国産の彫刻と誤解されることもあるとか。
彫刻の作業指示書も見せていただきましたが、磐田の玉匣社をはじめ袋井市葵町や豊田町宮之一色の屋台などを手がけられ質の高さは実証済みで、行き届いた品質管理は見事としか言いようがありません。
力神のサンプルを見せていただきました。目の瞳孔部分は独自の表現方法をされています。


山梨さんはとにかく研究熱心な方で、豊富な書籍・資料や下図、また今まで手がけられた作品の写真集などを拝見させていただき、その充実ぶりに圧倒されたといっても過言ではないくらいでした。率直な感想として、最初に抱いていた「仏壇屋さん」という、こういっては失礼なんですが暗いイメージはどこかへ吹き飛んでしまったのです。お話を聞いていると、「うわぁ、この人も好きなんだなあ、うんうん、わかるわかる。」となってしまい、時間が経つのも忘れてしまいました。要は静波に山車屋台彫刻を請け負う店があると考えていいわけなんですね。
外の材料置場も見せていただきました。しっかり管理された沢山の良質の木材が出番を待っています。

今まで訪ねてきた彫刻師さんはご自分で看板を上げておられる方々ばかりでしたので、大工さんなどと直接取引をして段取りを決めて仕事をこなしていくというのが私の固定観念でしたが、今回の山梨仏具店さんのようなやり方もアリなんだなと感じました。時代に合った合理的な方法なのかなと思います。
これだけのものを造るのですから「山梨仏具店というお名前だと祭りの屋台彫刻にはそぐわないんじゃないですか?」などと、とても失礼な質問をしてしまったにもかかわらず「祖父の代からの名前ですから」と、わかりやすく丁寧な応対をして下さった山梨さん、それから山梨仏具店の皆さん、お忙しい中誠にありがとうございました。
2001/08/04公開


写真:山梨仏具店さん 恵比寿


ご協力:南島 川島初雄さん

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