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2018/09/16日曜日
袋井市浅名の彫刻師・澤元清延(さわもとせいえん)さんを訪ねました
同行者:道楽親父さん

株式会社天峰建設の澤元教哲(さわもとみちのり)大棟梁の三男としてご活躍中の清延さん(33)
今回の訪問は澤元大棟梁のご紹介で実現いたしました。
<(_ _)>
→天峰建設HP
すがすがしい木の香でいっぱいの工房に入ると、まず名刺代わりにいただいたのがこのリーフレット↓
井波修業時代に出会いご結婚された仏師の奥様も一緒に紹介されています

→リーフリットをみる(JPEG)

「ご承知のように父が天峰建設ですのでそこの仕事が主になります。親子ですが別会社です」
という清延さん、まずは彫刻師になったきっかけからお話を伺っていきます。
「高校3年の夏休みにまだ進路が定まっていなくて、父の提案で一緒に井波彫刻協同組合を訪ねました。そこで社寺専門の澤 義博(さわよしひろ)さんを紹介していただき訪問して入門が許されました。高校を卒業して4月から親方の工房に住み込み修業が始まります。また忙しい修行の中、義務として週一で彫刻の訓練校に通います。同期の仲間や先輩方とも交流できるので、いい意味で刺激もあり気分転換もになっていました」
→井波彫刻協同組合HP
「1年目は親方や兄弟子に仕事を教わりながら無我夢中で過ぎました。2年目からは弟弟子が入門してきて面倒をみなくてはいけない。自分もまだまだなのに人に教えるのはかなり大変なんですね。逆に先輩の苦労もわかる…いろんな意味でいい勉強だったと思います。井波では年季明けが5年と決められており修了証がもらえるのですが、でもその前に辞めてしまう人も多いんです。入るのはわりと簡単なんだけど続けられない。私の場合は澤親方はじめ環境にも恵まれよかったと思います」
→澤 義博(さわよしひろ)さんHP
「9年目にちょうど澤親方の仕事が一息ついたので復帰前提で一時帰郷したところ、磐田市森下(旧豊田町)の興徳寺さんの欄間彫刻のお仕事があり、井波の澤親方に相談してご了解をいただき磐田へ戻って独立するとになりました。8年も大変お世話になり本当に感謝しています」

「初仕事として下絵から考え誠心誠意取り組ませていただきました。高い位置に取り付けられますから下から見上げて映えるようイメージしながら彫りました。こういうところは下絵に盛り込めないので難しいところです。完成取り付け後、ご住職と一緒の記念写真です」
(リーフレット掲載の唐狭間)
そして見せていただいたのが最近(2018/09/02)完成披露されたばかりの浜松市西区入野町彦尾地区「鶴亀連」新屋台の彫刻下絵原寸大です(^-^)


→「鶴亀連」新屋台披露

「組のご希望で前後の鬼板・懸魚は先代屋台の意匠を受け継いでいます。他のところは組の方々と話し合い図柄を詰めていきました。まず簡単な縮小版でラフスケッチを描き次に原寸大に起こしていくのですが、下絵用の紙は五箇山(ごかやま)和紙というものを使います。この紙が特別なもので、井波の澤親方から分けていただいています。これに墨書きすると滲まないんですね。こうすることで施主さんに説得力のあるご説明ができると思います」

「独立してやっていくからには下絵からすべて自分で考えないといけません。澤親方のところは社寺なので主に龍・獅子・天女・鳳凰などを多く経験させていただきましたが、祭り屋台となると多様で未経験のものばかりです。彦尾・鶴亀連さんのおしゃもっさまのように嫁さんに下絵を考えてもらう場合もあります」

「号の清延は、ご縁があり2012年に京都清水寺の貫主・森清範(もりせいはん )さんに付けていただきました。清は清水寺、延は若いからこれから延びる意味が込められています。
おかげさまで祭り屋台は平成28年(2016)磐田市中泉栄町さん、同時進行だった同市富丘さん(リーフレット表紙)、それと平成30年(2018)彦尾地区鶴亀連さんで3台になります。とてもありがたい号をいただいたので励みとし社寺や屋台の彫刻に精進していきたいです」


神奈川県のお寺の鬼板を彫刻(42秒)


お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました

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