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2010/12/10 小池工務店訪問
今年2月に3代目の小池清棟梁がお亡くなりになり、後を継いで小池工務店の社長になられた小池孝之(こいけたかゆき)さんにお話を伺いました。


◆まず簡単なプロフィールから
1956年(昭和31年)、小池清棟梁の長男として浜松市名塚町に生まれる。
高校卒業後に名古屋の専門学校へ進んで建築を勉強、卒業して磐田の設計事務所に就職、2級建築士の資格を取る。その後雄踏の土建会社へ7年間勤務して現場監督の経験を積み、27歳で1級建築士の資格を取得して父の経営する小池建設(平成元年に小池工務店)へ入社。
平成22年(2010)社長に就任

◆孝之さんは大工にはならなかったのですか?
「自分は大工より建築設計が向いていると思ったので、そちらの方向へ進みました。外で修行して戻ってきまして、私が入ったことにより住宅は私が担当し、屋台は父が手掛けることになりました。住宅と屋台を並行してやっていたということです。屋台と住宅といっても全く関わりがないわけではなく、物を運んだり見積書の製作などやれるところは手伝っていました。そうしているうちに時代の流れが変化してきて住宅の需要が減ってきたこともあり、私の屋台へ関わる比重が増してきました。父と材料の仕入れや取り引き業者へ行ったりして、だんだんと屋台製作の全体が把握できるようになってきたわけです。もともと現場監督の経験を積んできましたので、この辺の感覚は住宅も屋台も同じなんです。」

◆清棟梁が直接関わられていたのはいつ頃までですか?
「父が直接手を出して関わっていたのは、だいたい2004年の福田「ひ組」様屋台の修理の頃までです。それ以降は弟子達に任せるようになりましたね。それでも気になるようで現場へはよく顔を出していました。
現場からは退いても、社長として経営や施主さんとの契約など大事なことは関わっていました。それから2007年に造った千葉県成田市土屋区様の山車製作では、土台の木鼻を父が彫っています。」

◆工場の様子。いまは3名の大工さんがいます。
鈴木さんと石川さん(この日は別の現場のため以前の写真を使用しています)
鈴木さん 石川さん 撮影=敷組・細谷さん

孝之さんの息子・佑介さん (昭和61年生まれ)
2008年3月に富士宮の日本建築専門学校(4年間)を卒業後、同年4月に小池工務店入社。清棟梁の技術を受け継ぐ弟子の大工さん達の指導の下で仕事に励んでいます。

◆製作中の浜松市内の屋台(仮組)と完成予想図

◆さすがに浜松型は大きく複雑ですね
「2009年完成の浜松市三島町様屋台(頁下に写真有)とほぼ同じです。仮組なので上屋はありません。この段階で一度施主さんに来ていただいて確認しながら、細かい仕様などを詰めていきます。昔は図面なんか出さなかったですよ。父は出すもんじゃないと言っていました。見積書もなかったですね。あってもすごく大雑把で、だいたいいくらでやるよみたいな(笑)。今では施主さんに対してきちんと説明して契約書も交わしますから、こういう資料を出さないことには話が進みません。」


◆この浜松型の屋台も解体修理が可能ですか?
「もちろんできますよ。ただし屋根は仕上げに銅板を葺いてしまうので、そのまま解体はできません。修理個所によっては上屋をクレーンで持ち上げてやる必要があります。あとは一層屋台と同じように組子の1個までバラせます。土台の修理・交換ですと屋台全体をバラす必要はなくて、ジャッキで持ち上げて土台を落として取り外すんです。言うだけなら簡単なんですが(笑)、これは市内で数台の施工実績があり、比較的低予算でできます。」

◆材料置き場、すごい数の材料ですね
「昨年(2009年)一部増設しています。やはり大事なのは材料をよく吟味してしっかり乾燥させることです。屋台のお話をいただいてから材料を仕入れて製材、十分に自然乾燥させて加工にかかります。しっかり乾燥させないと狂いが生じたり割れの原因になったりしますよ。加工した後でも狂いの出たものはハネて最初からやり直し。伐採された後も木は生きていますから計算通りいかないこともあります。また急な修理の注文にもなるべく応えられるようある程度の乾燥材は確保しておかなくてはなりません。なかなか大変ですよ。」
↓正面が材料置場・左奥が工場・右が事務所兼本宅

◆例えば掛塚型の一層屋台を新築するとして、低予算目的のBTO(Built To Order)も可能ですか?
「屋台の値段に関しては施主さんのご予算に応じて、例えば材料を見直すなどした見積もりをお出しすることはできますよ。あまり予算をかけられないが、なんとか本式の屋台がほしいというご相談も受けますので、そういうご希望にも応えていけるよう考えています。屋台の仕様などは小池工務店ホームページに掲載してありますから、ご参考にしていただければと思います。」

◆今後の抱負やPRをお聞かせください
「当社は浜松市名塚町で山車屋台の製作と修理を専門に行っています。掛塚型屋台を製作規準とし、基本的に組みばらしができるように造っています。末永く気持ちよく使っていただける屋台の完成をお約束しますので、お気軽にご相談ください。屋台は雄健華麗であれ…と思っています。丈夫で長持ち、シンプルで美しく、組みばらしができることを製作方針として基本に忠実な屋台を念頭においています。
坂田歌吉(明治~大正)
小池佐太郎(大正~昭和)
小池清(昭和~平成)
に続き、長年培ってきたやり方を継承し皆さんの期待に応えられる屋台造りを続けていきます。」「」


磐田市豊岡「敷組」2004年完成

浜松市三島町屋台2009年完成
お披露目2009/03/29
お忙しい中ありがとうございました。(2010/12/10)


《DATA2010》



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