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2005/02/22火曜日
井口寛臣(いぐちひろおみ)さん訪問
写真撮影・記事作成:mitsuya noriyuki
2005/02/22 工房にて

「豊田町で新屋台ができますよ」
2004年9月に井口さんからいただいたメールが今回の訪問のきっかけとなりました。何度かやりとりをさせていただき、天竜浜名湖鉄道の遠江一宮駅前にある工房を森町天宮・岩本雅志さんのご案内で訪ねることになりました。

井口さんは昭和47年森町谷中の生まれ。子供の頃から祭り屋台の彫刻に憧れ、職人への夢を持ち続けていました。ご両親の意向もあって公務員になるため愛知県の大学に進みますが、3年のときに出会った井波彫刻を紹介する祭りの本の記事を読んで「自分の道はこれだ!」と大学中退を決意。ご両親も「そこまでやる気があるのなら」と承諾してくれたそうです。

さて、彫刻師になるための井波彫刻工芸高等職業訓練校に通うには、まず身元を引き受けてくれる親方が必要です。そこで、森町大門の屋台彫刻(昭和62年)を手がけた井波彫刻師の吉江立最さんから、2代目南部白雲(なんぶはくうん・故人)さんを紹介してもらいました。
熱意が認められて平成7年3月に弟子入りを許され、4月から厳しい修行をしながら授業のあるときは訓練校に通い、5年間で年季が明けて帰郷。
平成12年5月に祖父の家の一室を仕事部屋として構えました。

「いつかは屋台」を目標に、社寺の虹梁や額縁、和菓子の木型などの仕事を幅広くこなし、ついに磐田郡豊田町一区(匂坂西、上気賀)の祭り屋台彫刻(平成16年完成)を手がけることになりました。地元の方々のご要望や山本棟梁からのアドバイスもあり立派な屋台彫刻が完成しました。彫刻の下絵なども見せていただき井口さんの意気込みが伝わる訪問となりました。

(棟梁:山本建築 写真:岩本雅志さん)

「い組」屋台の龍下絵

太鼓台の力神下絵(制作中)

試作中「桃園の三傑」

木鼻のサンプル


2005/03/05土曜日
力神を制作中の井口さんの工房を再び訪問

「井波で学んだ技術をもとに、伝統的な彫刻も勉強しながら現代的な感覚も取り入れて、自分なりの作風を創り上げていけたらと思います。三ケ日の伊藤章晴さんの弟弟子(おとうとでし)になるので、たまに訪ねてはいろいろとアドバイスをしてもらっています。号ですか? 特にないですよ。作品には寛臣と入れています」
と語る井口さん。今は森町谷中屋台の太鼓台に付く力神を制作中。時間があるので、一ヶ月ほどかけてじっくりやっていきますとのこと。これからのご活躍が楽しみです。



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